相続税の控除とは?基礎控除の計算と使える控除をやさしく解説

「相続が起きたけれど、うちは相続税を払うことになるのだろうか」「いくらまで無税なのかがわからず不安」——そう感じる方は少なくありません。
相続税には、遺産の額から差し引く基礎控除や、相続人の立場に応じて税負担を軽くする税額控除・特例などが用意されています。
まず押さえたいのが、課税されるかどうかの分かれ目になる「基礎控除」です。
この記事では、基礎控除の計算方法を中心に、配偶者や未成年者などが使える控除、自宅の土地の評価を抑える特例までをやさしく整理します。

相続税の控除とは?税負担を軽くする2つのタイプ

相続税の控除について確認するイメージ

相続税の控除とは、亡くなった方(被相続人)から受け継いだ財産にかかる税金を、一定のルールで軽くするしくみのことです。控除には大きく2つのタイプがあり、どこで効いてくるかが異なります。全体像をつかんでおくと、この後の各控除が理解しやすくなります。
1つ目は、課税の対象になる遺産の総額そのものを減らすタイプです。代表格が「基礎控除」で、遺産の合計額から差し引き、残った金額に対してだけ相続税がかかります。基礎控除の範囲に遺産が収まれば、相続税はかからず申告も原則不要になります。
もう1つが、いったん計算した税額から直接差し引くタイプ(税額控除)です。配偶者の税額軽減や未成年者控除などがこれにあたり、相続人それぞれの事情に合わせて負担を和らげます。
まずは遺産総額を基礎控除と比べて課税されるかを判断し、課税される場合に各種の税額控除で調整していく、という順番で考えるとわかりやすいでしょう。

相続税の基礎控除とは?いくらまで無税になるのか

相続税の基礎控除を計算するイメージ

相続税の基礎控除は、いわば「相続税がかからない非課税枠」です。遺産の合計額がこの枠の範囲内であれば相続税はかからず、超えた部分にだけ課税されます。
つまり「いくらまで無税か」を決めるのが基礎控除であり、相続税を考えるうえで最初の関門といえるでしょう。
基礎控除の額は法定相続人の数によって変わり、法定相続人が多いほど枠は大きくなります。
かつては現在より枠が広かったのですが、2015年(平成27年)1月からの制度改正で基礎控除額が引き下げられ、相続税の対象となる方が以前より増えました。「昔は相続税なんて縁がないと聞いた」という前提のままだと判断を誤ることがあるため、現在の基準で確認することが大切です。

基礎控除の計算式(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

基礎控除額は、次の式で計算します。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除額になります。遺産の合計額がこの4,800万円以下であれば、相続税はかからないと考えられます。
相続人が1人増えるごとに枠が600万円広がるため、法定相続人を正しく数えることが計算の出発点です。

法定相続人の数え方と注意点(養子・代襲相続・相続放棄)

法定相続人とは、民法で相続する権利が定められている人のことです。配偶者は常に相続人となり、これに加えて子ども、いなければ親、さらにいなければ兄弟姉妹という順で決まります。数え方にはいくつか注意点があり、基礎控除の額にも関わってくるため気をつけたいところです。
養子は基礎控除の計算に含められますが、人数に上限があります。実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までしか算入できません。
また、子どもが先に亡くなっている場合に孫が代わりに相続人となる代襲相続では、その孫を法定相続人として数えます。相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上は「放棄がなかったもの」として人数に含めるため、放棄によって枠が減ることはありません。
こうした数え方はケースによって判断が分かれやすいところなので、迷う場合は早めにご相談ください。

相続税はいくらから、誰にかかるのか

相続財産と相続税について確認するイメージ

相続税がかかるかどうかは、遺産の合計額が基礎控除を上回るかどうかで決まります。基礎控除以下であれば課税されず、上回った場合に、その超えた部分が課税の対象になります。「いくらから相続税がかかるのか」は一律の金額ではなく、法定相続人の数によって変わる点がポイントです。
ここでいう遺産の合計額には、預貯金や不動産、有価証券といったプラスの財産のほか、生命保険金や死亡退職金の一部なども含まれ、借入金や未払金などのマイナスの財産や葬式費用は差し引いて計算します。
実際に相続税を負担するのは、原則として財産を受け継いだ相続人や受遺者です。誰がどの財産を取得するかによって一人ひとりの税額が変わるため、遺産の分け方とあわせて考える必要があります。
ご自宅などの不動産が遺産の中心になるご家庭では、評価額の出し方によって課税されるかどうかが変わることもあり、専門家による確認が有効です。

配偶者が使える相続税の控除(配偶者の税額軽減)

配偶者の相続税の税額軽減を確認するイメージ

配偶者には、相続税を大きく軽くする「配偶者の税額軽減」という控除があります。長年連れ添った配偶者の生活を守り、財産形成への貢献を考慮するために設けられたしくみです。配偶者が取得した遺産のうち、一定の範囲までは相続税がかからないため、負担が大幅に和らぐケースが多くみられます。
具体的には、配偶者が実際に取得した遺産について、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分に相当する額」のいずれか多いほうまでは相続税がかからないとされています。
ただし、この軽減を受けるには相続税申告が必要で、申告して初めて適用される点に注意が必要です。
また、目先の税額だけを見て配偶者に多く相続させると、その配偶者が亡くなったとき(二次相続)に子どもの負担が重くなることもあります。一次相続と二次相続を通した全体で考えることが大切なので、配分に迷うときは事前のご相談をおすすめします。

未成年者や障害のある相続人が使える相続税の控除

相続人が利用できる相続税の控除を確認するイメージ

相続人の立場や事情に応じて、税額から直接差し引ける控除も用意されています。ここでは代表的なものを見ていきましょう。いずれも、その相続人が納める相続税から一定額を控除できるしくみです。

未成年者控除

相続人が未成年である場合に使えるのが未成年者控除です。控除額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算します。
たとえば相続開始時に15歳であれば、18歳までの3年分で30万円を税額から差し引ける計算です。若い相続人の今後の養育や教育にかかる負担に配慮した控除といえます。

障害者控除

相続人に障害がある場合には障害者控除があります。控除額は、その相続人が満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)で計算します。
控除額が本人の相続税額を上回るときは、扶養義務者の税額から差し引ける場合もあります。適用の可否や区分の判断は個別の状況によって変わるため、確認が必要です。

相次相続控除

短い期間に相続が続いたときの負担を和らげる控除もあります。10年以内に2回以上の相続が発生し、前の相続で相続税を納めていた場合、一定額を今回の相続税から差し引ける相次相続控除です。
祖父母から親、親から子どもへと続けて相続が起きたようなケースで役立ちます。

生前贈与を受けていた場合の相続税の控除(贈与税額控除)

生前贈与と贈与税額控除について確認するイメージ

亡くなる前に贈与を受けていた財産は、一定期間さかのぼって相続財産に加算して相続税を計算するルールがあります(生前贈与加算)。このとき、その贈与について過去に贈与税を納めていれば、税金の二重取りにならないよう、納めた贈与税額を相続税から差し引けます。これが暦年課税分の贈与税額控除です。
加算の対象になる期間は制度改正で見直され、これまでの相続開始前3年から段階的に延長される方向で運用されています。適用される年数はいつ贈与を受けたかによって異なり、判断が難しい部分です。
生前贈与をしていた、あるいは検討しているというご家庭では、加算や控除の扱いを含めて早めに状況を整理しておくと、判断で迷いにくくなります。詳しい適用関係は当事務所でご案内しますので、ご相談ください。

自宅の土地の相続税評価を抑える小規模宅地等の特例

自宅の土地と小規模宅地等の特例のイメージ

相続財産に自宅の土地が含まれる場合に、大きな効果を持つのが「小規模宅地等の特例」です。厳密には税額から引く控除ではなく、土地の評価額そのものを下げる特例ですが、相続税を抑えるうえで欠かせない制度なので押さえておきましょう。評価額が下がれば、その分だけ課税対象も小さくなるためです。
被相続人が住んでいた自宅の敷地については、要件を満たすと330平方メートルまでの部分について評価額を80%減額できるとされています。たとえば同居していた家族が引き続き住み続けるようなケースが対象になりますが、誰が取得し、その後どう使うかなどの条件が細かく定められています。
この特例も、適用するには相続税申告が必要です。要件の判定を誤ると使えなくなることもあるため、自宅の土地がある相続では専門家の確認をおすすめします。

相続税の控除を使うときの注意点と申告の要否

相続税申告の注意点を確認するイメージ

控除の中には、遺産が基礎控除以下で自動的に無税になるものと、申告して初めて使えるものがあります。この違いを取り違えると、本来受けられたはずの軽減を逃してしまいかねません。最後に、控除を使ううえで気をつけたい点を整理します。
基礎控除の範囲に遺産が収まる場合は、原則として相続税申告も納税も不要です。一方で、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、適用の結果として税額がゼロになる場合でも、相続税申告をしなければ受けられません。
「控除を使えば無税だから申告しなくてよい」と自己判断すると、要件を満たしていても適用されないことがあるため注意しましょう。
相続税申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産の把握や分け方の話し合い、書類の準備には時間がかかるため、早めに動き出すことがスムーズな手続きにつながります。どの控除が使えそうかの見立てを含め、迷ったときは相続税に詳しい税理士へご相談ください。

相続税の控除に関するよくある質問

相続税の控除について質問するイメージ

遺産が基礎控除以下なら相続税申告はしなくてよいですか?

遺産の合計額が基礎控除の範囲に収まり、特例なども使わないのであれば、原則として相続税申告は不要です。
ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って結果的に税額がゼロになる場合は、申告が必要になります。判断に迷うときは、遺産の内容を確認したうえでご相談ください。

法定相続人が増えると相続税は本当に軽くなりますか?

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するため、法定相続人が多いほど非課税枠は大きくなります。
その意味で、法定相続人の数は税負担を左右する要素の一つです。
ただし養子には算入できる人数の上限があるなど数え方のルールがあり、実際の税額は財産の内容や分け方でも変わります。

生前贈与をしておけば相続税はかからなくなりますか?

生前贈与は相続財産を減らす手段になり得ますが、一定期間内の贈与は相続財産に加算して計算するルールがあるため、贈与すれば必ず無税になるわけではありません。加算の対象期間や贈与税額控除の扱いはケースごとに異なります。
ご家庭の状況に合わせた方法を一緒に考えますので、お気軽にお問い合わせください。

伊丹市で相続税の控除や申告でお悩みの方は和田敦税理士事務所へ

相続税について税理士へ相談するイメージ

相続税は、基礎控除でいくらまで無税になるかを見極め、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった控除を正しく組み合わせることで、納める税額も手続きの負担も変わってきます。とはいえ、法定相続人の数え方や特例の要件、申告の要否は個別の事情によって判断が分かれ、ご自身だけで見極めるのは簡単ではありません。
和田敦税理士事務所は、伊丹市を中心に相続税を専門に扱い、有資格の税理士が最初のご面談から一貫して対応します。土地の評価や相続人の人数による追加報酬をいただかない料金体系を明示し、出張訪問やメールでのやり取りにも対応しています。
相続税の控除や申告についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
ご家庭の状況をうかがいながら、使える控除や進め方を一緒に整理いたします。

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